「モンスター社員」は、チームワークを乱し、モラルを低下させ、業務の効率性を損なう可能性がある社員を指します。
本記事ではモンスター社員を放置することのリスクから、モンスター社員を事前に防止できる方法まで具体的に解説します。
1. モンスター社員を放置するリスク
モンスター社員の放置は、多くのデメリットを伴うため大変危険です。
主に挙げられるリスクは次の通りです。
生産性の低下
チームワークの崩壊やモラルの低下は業務効率を阻害し、生産性の低下にも影響します。
ネガティブな言動や行動は、職場全体に悪影響をもたらすため、目標達成を困難にしてしまう可能性も少なくありません。
訴訟リスクの増加
モンスター社員の行動が、パワハラやセクハラに該当する場合にも注意が必要です。
社内外問わず、そのような行動を起こすことによって訴訟のリスクがあります。
2. モンスター社員への基本的な対応
モンスター社員に対する基本的な対応について、以下で詳しく解説します。
2.1 冷静な対応を心掛ける
まずは、冷静に対応することを心掛けましょう。特定の従業員が職場に深刻な影響を与えている場合は、チームが一丸となって適切な措置を講じることが求められます。
問題の共有を行い、産業カウンセラーやメンタルヘルス専門家などのサポートを検討することもおすすめです。
2.2 改善のチャンスを作る
モンスター社員を改善させるためには、適切な指導方法や改善計画が必要です。
もう少し詳しく解説します。
1.問題の明確化
具体的な問題を明確にしましょう。モンスター社員への必要な対応は、前述でも話したように「コミュニケーション」です。
2.相手の立場への理解
問題解決の近道として、根本的な理解が必要と前述で解説しましたが、相手の立場の理解を進めることにより表面的な対応だけでなく、真の解決策を見つけることができます。
3.フィードバックの提供
適切な方法でフィードバックを提供すると、彼らの行動を改善できるだけでなく職場全体の雰囲気向上につながるのです。
モンスター社員への具体的なフィードバックは次の通りです。
ミーティングを通じて、フィードバックを行うこと
1on1の定期的なミーティングでは、テーマを設定して対話しましょう。
議論に集中することにより、具体的なフィードバックを提供しやすくなります。
強みと改善点をポジティブな言葉で伝えること
改善のためには具体的な提案やアドバイスをポジティブに伝えて、彼らが行動に移せるようにサポートすることが必要です。
改善の機会を与えることが、個々の社員だけでなくチーム全体の意識改革につながります。
2.3 人事異動や配置転換の検討・打診
個別面談
モンスター社員と個別面談を行い、「目標の設定」が可能であれば、この際に達成が可能な目標を提案しましょう。
候補部署の選定
モンスター社員のスキルや経験、性格などを考慮して、最適な候補部署を複数選定します。
この際に個別面談の中で設定した明確な目標が達成できるかも選定基準のひとつです。
部署異動への調整と合意
異動先の候補部署の責任者と連携し、モンスター社員の受け入れ、サポート体制を整えます。
モンスター社員が異動をしても問題ないか、業務の内容、設定した目標は改善できそうかなど、細かく連携しましょう。
3.懲戒処分の検討やリスクについて
懲戒処分の適切な実施方法やリスク、対策について以下で詳しく解説します。
3.1 懲戒処分の適切な実施方法
懲戒処分をする目的は、問題行動の非を認めさせて、再発防止を図ることですが、会社の就業規則によって大きく異なり、一般的に懲戒処分には次の方法があります。
・減給
・降格
・出勤停止
・解雇
例えば、「業務妨害や顧客への暴言を行った場合」、「企業機密を漏えいし、不正な手段で利益を得た場合」など、これらはいずれも事実確認、従業員への聴取をした上で、懲戒処分になるケースです。
懲戒処分の証拠となる情報はメールやチャットログ、録音データ、目撃証言、監視カメラの映像などによりこれらの情報を得ることができます。
懲戒処分についてはさらなるトラブルになる可能性もあるため、専門家に相談して適切な対応を行うことが重要です。
当事務所では初回の相談は無料で行っております。お気軽にご相談ください。
3.2 解雇に踏み切る場合の法的リスクと対策
モンスター社員を解雇する法的なリスクは、主に3点です。
1.不当解雇の訴訟リスク
2.損害賠償請求のリスク
3.労働組合との紛争リスク
解雇には解雇予告が必要です。
突然の解雇によって労働者が生活で困窮しないために、新しい仕事を探すための猶予を与える目的があるためです。
解雇をするには、証拠資料をそろえるだけでなく、解雇予告や解雇のための4つの要件に沿って行いましょう。
1客観的に合理的な理由
業務上の重大な過失、会社の経営悪化による人員削減など、会社にとっての正当な理由が必要です。
2社会通念上相当の理由
社会的にみて妥当なものかどうかが判断される解雇のことです。会社都合による解雇の場合は、従業員の年齢、勤続年数や家族構成などを考慮する必要があります。
3解雇予告
解雇する30日前までに労働者に解雇予告をしなければならないことです。予告期間を守らない場合は、解雇予告手当を支払う必要があります。
4解雇予告手当
解雇予告をしなかった場合に、もしくは解雇予告期間が30日未満であった場合に支払う必要がある手当のことです。
企業の立場と従業員の権利の両方を考慮して、適切なアドバイスをしてくれる弁護士への相談も、解雇の際は積極的な相談がおすすめです。
4.モンスター社員を事前に防止する方法
モンスター社員は、懲戒処分や解雇にならずに事前に防止できます。
就業規則や社内ルールの制定
職場全体でコミュニケーションを活発化させ、従業員間の相互理解を深めましょう。
そして、明確な就業規則を従業員に周知徹底をしておくことで、職場における行動規範を共有し、トラブルを未然に防ぐことができます。
社員教育を通じてコミュニケーション研修やストレスマネジメントを知る
社員教育を通じて積極的なコミュニケーションや相手の共感、異議申し立てなどの方法を学ぶことにより、円滑な人間関係を構築できるスキルを習得します。
5.モンスター社員の対処に困ったら社会保険労務士に相談を
モンスター社員の対処に困ったら、社会保険労務士にまずは相談しませんか?
社会保険労務士は、労働法や社会保険に関する専門家です。モンスター社員に関するさまざまな問題に対して、適切なアドバイスやサポートの提供ができます。
社会保険労務士へ相談することで得られるメリットは、次の3つです。
1具体的な対応策を提案してもらえる
モンスター社員への対応は状況によって異なり、適切な対応策も見つかりにくいでしょう。社会保険労務士に相談をすることにより、企業の状況やモンスター社員の行動パターンなどを分析し、企業に沿った具体的な対応策を提案することが可能です。
2労働トラブルの予防が可能
モンスター社員の発生を予防するためのアドバイスも提供できる社会保険労務士は、専門家だからこそさまざまな場面でのトラブルを想定できます。
例えば、採用段階での面接のポイント、心理テストの活用方法など、「モンスター社員となる可能性のある人物」を採用するリスクを軽減し、従業員が働きやすい環境づくりをサポートします。
3企業の立場に立ってサポートしてもらえる
企業はモンスター社員の問題に直面すると従業員のモチベーション低下や業務効率の悪化、企業イメージの悪化など、さまざまな問題に悩まされます。
社会保険労務士は企業がこれらの問題を解決し、健全な職場環境を維持できるように専門的な知識と経験を生かしてサポートできるのです。
当事務所では、初回相談は無料で行っております。
社会保険労務士へのご相談が初めての方、現在社会保険労務士と契約中だけど別の社会保険労務士にも相談してみたい方にもおすすめです。お気軽にご相談ください。
6.まとめ
企業にとって大きな課題でもあるモンスター社員の出現は、採用段階での適切な評価、職場環境での整備、そして社員教育を通じて発生を抑制させることも可能です。モンスター社員の対応は状況によって異なるため、適切な対応策を見つける必要があります。自社では対応できないケースも多いからこそ、専門家への相談とアドバイスをあおぎ、職場環境の改善を図ることが大切です。
複数名の社会保険労務士が在籍している当事務所では、お急ぎのご相談でもスピード感を持って解決することができます。ぜひご相談ください。